夫の単身赴任が決まったとき、我が家がいちばん最後まで決められなかったのが「車をどうするか」でした。
引越しの日程も、家具の分け方も、なんとなく形になっていく。でも車だけは、夫婦のどちらが使うのか、2台とも要るのか、話すたびに答えが変わる。
我が家には当時、車が2台ありました。夫の車と、私の車です。地方暮らしでは珍しくない、ごく普通の「一家に2台」。
そして夫の赴任先は、車がなくても暮らせる街でした。

最初は本気でそう思っていました。
結論から言うと、我が家は1台を売って、車は私の手元に1台だけ残しました。当時、駐車場代は2台で月13,000円だったのがちょうど半額に。そこに保険料・ガソリン代・車検代・自動車税が乗って、1年でおよそ30万円が浮きました。
この記事では、そこにたどり着くまでに迷ったこと、あとから「先に知っておきたかった」と思ったことを、転勤族の妻の目線で正直に書きます。とくに「車庫飛ばし」という落とし穴は、知らないと法律違反になってしまうので、車を赴任先へ持っていこうとしている方はぜひ読んでいってください。
目次
結論:赴任先が「車のいらない街」なら、車は減らしていい
先に、我が家がたどり着いた答えを書いておきます。
迷ったときの判断はこれだけ
赴任先で車に乗る回数が「週1回未満」なら、その車は手放していい。
車は、乗らなくてもお金が出ていく持ち物です。駐車場代、任意保険、税金、車検。乗らない月にも、静かに減っていきます。
逆に、赴任先が車がないとスーパーにも行けない地域なら、無理に手放してはいけません。生活が回らなくなります。
- 赴任先が都市部(電車・バスで通勤できる)→ 減らす方向で検討
- 赴任先が車社会(駅まで遠い・冬に雪が降る)→ 持っていく方向で検討
当たり前のことを言っているようですが、我が家が最後まで決められなかったのは、この「乗る回数」を数えないまま、「あったほうが安心」という気持ちだけで話していたからでした。
紙に「赴任先で車を使う場面」を書き出してみたら、夫のぶんはほとんど埋まりませんでした。通勤は電車。買い物は歩いて行ける。休みの日は帰ってくる。それで話が終わりました。
【我が家の場合】2台持ち夫婦が、単身赴任で1台手放した
ここからは、実際に我が家がどうしたかの話です。
なぜ「夫の車」を売ったのか
売る車を選ぶとき、迷う必要はありませんでした。理由はシンプルで、残るほう(私)が住む場所が、車のいる地域だったからです。
私が残った家は、駅まで歩くと20分以上かかる、いわゆる車社会の街でした。買い物も病院も、車がないと成立しません。一方、夫が行く街は電車で全部済む。
つまり「どちらの車を売るか」ではなく、「どちらの生活に車が必要か」で決まったということです。

でも「新しいから残す」だと、使わない車を高いお金で置いておくことになるんですよね。
もし逆に、赴任先が車社会で、残る側が都市部なら、答えも逆になります。車は「思い出」や「新しさ」ではなく、「使う場所」で残す——これが我が家の学びでした。
駐車場代が、2台で13,000円から半額になった
いちばん目に見えて効果があったのが、駐車場代です。
| 単身赴任前 | 単身赴任後 | |
|---|---|---|
| 車の台数 | 2台 | 1台 |
| 駐車場代(月) | 13,000円 | 6,500円 |
| 駐車場代(年) | 156,000円 | 78,000円 |
駐車場代だけで年間およそ78,000円。ただ、当時浮いたのはこれだけではありませんでした。
消えたのは駐車場代だけじゃなかった
車を1台手放すということは、その車にひもづいていたお金がまとめて消えるということです。あとから当時の家計簿を見返して、自分でも驚きました。
任意保険は、当時の金額で年間およそ6万円が浮きました。2台分かけていたものが1台分になったので当然といえば当然なのですが、毎年の引き落としが一度なくなると、はっきり体感があります。
そしてガソリン代。当時、夫の車には月に6,000円ほど入れていました。年間にすると72,000円。通勤で毎日乗っていたので、これがそのまま不要になりました。
さらに、忘れてはいけないのが車検代です。当時の我が家は1回あたりおよそ10万円。車検は2年に1度なので、1年あたりに直すと約5万円が、静かに積み立てられていた計算になります。
そして毎年5月に届く自動車税。こちらも当時で36,000円でした。乗っても乗らなくても、必ず届く納付書です。
当時の金額で、1年ぶんを並べるとこうなりました。
| 手放して消えた費用(当時) | 月あたり | 年間 |
|---|---|---|
| 駐車場代(2台→1台) | 6,500円 | 78,000円 |
| 任意保険 | 約5,000円 | 約60,000円 |
| ガソリン代 | 6,000円 | 72,000円 |
| 車検代(1回約10万円÷2年) | 約4,200円 | 約50,000円 |
| 自動車税 | 約3,000円 | 36,000円 |
| 合計 | 約24,700円 | 約296,000円 |
1年で、およそ30万円。

「車って、乗らなくても持っているだけでお金がかかる」と頭ではわかっていても、数字にすると重みが違います。
しかもこの表には、タイヤ交換やオイル交換、突然の修理代は入っていません。実際に浮いたお金は、もう少し多かったはずです。
※金額はいずれも当時の我が家の実額です。車種・地域・年式によって変わりますし、自動車税や車検の費用も年々変わります。ご自身の場合は、手元の納付書や保険証券で確かめてみてください。
単身赴任は、家がふたつになるぶん生活費が増えます。そこにこの30万円が乗ってこなかったのは、本当に大きかった。「1台減らす」は、単身赴任のいちばん効く節約でした。
車の維持費が年間でいくらかかるのかは、別の記事で内訳を全部書き出しています。「乗らない月にも出ていく固定費」の正体がわかるので、迷っている方はこちらもどうぞ。
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車の維持費が馬鹿らしいと思っているあなたへ 転勤族の最適な選び方解説します
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そして単身赴任は、家が2つになるぶん、生活費そのものは確実に増えます。だからこそ「減らせる固定費」を、赴任が始まる前に減らしておくのが効きました。
「持っていく」「置いていく」「売る」を比べてみる
単身赴任のときの車の選択肢は、大きく3つです。我が家は結果的に「売る(1台)+置いていく(1台)」の組み合わせでした。
| 選択肢 | かかるお金 | 必要な手続き | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 持っていく | 赴任先の駐車場代+(陸送を頼むなら)その費用 | 車庫証明の取り直しなど | 赴任先が車社会の人 |
| 置いていく | 今までどおりの維持費 | とくになし(家族が乗るなら保険の見直し) | 残る家族が車を使う人 |
| 売る | 維持費がゼロになり、まとまったお金が入る | 名義変更・任意保険の中断手続き | 赴任先で車に乗らない人 |
見落とされがちなのが、真ん中の「置いていく」です。誰も乗らないのに置いておくのがいちばんもったいない。駐車場代も保険も税金も、乗らなくても出ていきます。
「置いていく」が正解になるのは、残る家族がその車に乗るときだけ。我が家の1台がまさにこれでした。
【要注意】赴任先で車に乗るなら「車庫飛ばし」に気をつけて
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
車を赴任先へ持っていく場合、多くの人が住民票を移さないまま行きます。単身赴任だと、家族の住所は元のまま——というご家庭も多いですよね。
このとき、うっかり見落とされるのが車庫証明(自動車保管場所証明)です。
「車庫飛ばし」とは
車庫証明に登録した保管場所と、実際に車を停めている場所が違う状態のことです。
単身赴任で車を持っていったのに、車庫証明は元の家のままにしている——これがまさに車庫飛ばしにあたります。
これは法律違反で、罰則があります。「知らなかった」「単身赴任だから」は理由になりません。
車を赴任先に持っていって、そこで日常的に停めるなら、赴任先の警察署で車庫証明を取り直すのが原則です。住民票を移していなくても手続きできる場合がありますが、必要な書類や扱いは地域によって違います。
ここは自己判断せず、赴任先を管轄する警察署に一度電話して確認してください。「単身赴任で、住民票は移していないのですが」と正直に言えば、必要な書類を教えてくれます。

「ちょっと車を持っていくだけ」のつもりが、法律の話になるとは思わないですよね。
ちなみに我が家は車を売ったので、この手続きとは無縁でした。結果的に、面倒がひとつ減ったのも売ってよかった点です。
車を残す側にも、忘れがちな手続きがあります
「1台残すだけだから何もしなくていい」と思っていたら、いくつか抜けがありました。
1. 任意保険の「主に運転する人」を変える
保険は、契約者や「主に運転する人」を誰にしているかで保険料が変わります。夫が契約者・主運転者のまま、実際には妻しか乗っていない——という状態は、いざ事故のときにトラブルになりかねません。
単身赴任で運転する人が変わるなら、保険会社に一本連絡を入れておきましょう。等級はそのまま引き継げるケースが多いですし、条件によっては保険料が下がることもあります。
2. 売る車の保険は「解約」ではなく「中断」にする
これは知らないと確実に損をします。車を手放すときに任意保険をただ解約すると、育ててきた等級(割引)が消えます。
そうではなく「中断証明書」を発行してもらうと、等級を最長10年間保存できます。数年後にまた車を買うとき、割引された保険料からスタートできるということです。
中断証明書は、車を手放す「前」に
解約の連絡をするときに、「中断証明書を出してください」と自分から言う必要があります。
黙っていると、ただの解約で処理されてしまうことがあります。転勤族は数年後にまた車が必要になる可能性が高いので、これは必ず。
3. 駐車場の解約は、早めに申し出る
月極駐車場は「解約は1か月前までに申し出ること」という契約が多いです。引き渡しの直前に連絡すると、乗っていない車のぶんの駐車場代を1か月余分に払うことになります。
我が家は引越しのバタバタで、これを危うく忘れかけました。車を売ると決めた日に、駐車場にも電話する——これをセットで覚えておくと安心です。
売ると決めたら、いつ・どこで売るのがいいのか
売ると決めてからも、もうひと山あります。「いつ売るか」と「どこで売るか」で、手元に残る金額がはっきり変わるからです。
ざっくり言うと、こういうことでした。
- 引越しの1〜2週間前までに引き渡すと、バタバタせずに済む
- ディーラーの下取りは、たいてい安い(買い替えの値引きと混ざるので、比べにくい)
- 複数の買取店に見てもらうと、同じ車でも金額が変わる
我が家が実際にどう動いて、どこでいくらの差がついたのかは、こちらの記事に手順まで全部書いています。しつこい電話への対策も正直に書いたので、これから売る方はぜひ。
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赴任先で、やっぱり車が必要になったら
「売ってしまって、必要になったらどうするの?」——これは私もいちばん不安だったところです。
実際に暮らしてみると、車がいらない街では本当にいらないのですが、月に1〜2回、荷物を運ぶときや遠出のときに「あれば楽なのにな」と思う瞬間はあります。
その程度の頻度なら、選択肢は3つあります。
- カーシェア……15分単位で借りられる。近所にステーションがあるなら最強。ガソリン代込みのことが多い
- レンタカー……半日〜1日単位。旅行や帰省など、まとまった時間で使うとき
- カーリース……月々定額で、車を持つのとほぼ同じ感覚。転勤族には相性がいい
月に1〜2回ならカーシェアやレンタカーのほうが確実に安く済みます。逆に「週に何度も乗る」なら、持つか、借り続けるほうが安い。この分かれ目は、赴任先の生活が始まってから決めても遅くありません。
転勤族と車の付き合い方については、カーリースも含めてまるごと1本書いています。赴任先で車が必要そうな方は、こちらを先に読んでおくと判断が早いです。
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よくある質問
Q. 単身赴任が何年なら、車を売るべきですか?
年数より「赴任先で乗るかどうか」で決めるほうが失敗しません。1年でも毎日乗るなら持っていくべきですし、3年でも乗らないなら売ったほうが得です。ただ、赴任期間が長いほど、乗らない車を維持する損は大きくなります。
Q. 車を持っていくと、いくらかかりますか?
自分で運転していくなら、ガソリン代と高速代だけです。距離があって業者に運んでもらう(陸送)場合は、距離と車種で金額が変わるので、引越し業者や陸送業者に見積もりを取ってください。引越しの見積もりと一緒に頼むと話が早いです。
Q. 売った車の保険はどうなりますか?
解約する前に「中断証明書」を発行してもらってください。等級(割引)を最長10年保存できます。何も言わないと出してもらえないことがあるので、自分から申し出るのが大事です。
Q. 単身赴任先でも車庫証明は必要ですか?
赴任先で車を保管するなら、原則として必要です。住民票を移していない場合の扱いは地域によって違うので、赴任先の警察署に確認してください。登録した場所と実際の保管場所が違う「車庫飛ばし」は法律違反です。
Q. 夫の名義の車を、妻が売ることはできますか?
できますが、名義人(この場合は夫)の書類と実印が必要です。単身赴任で夫が遠方にいると、書類のやりとりで時間がかかります。売ると決めたら、必要書類を早めに買取店に確認して、夫に送ってもらう段取りを組んでおきましょう。
まとめ:車は「思い入れ」ではなく「使う場所」で残す
最後に、我が家が単身赴任で車を1台減らして思ったことをまとめます。
- 赴任先で週1回も乗らないなら、その車は手放していい
- 残すのは、新しいほうでも思い入れがあるほうでもなく、車が必要な生活をしているほうの1台
- 駐車場代は2台で13,000円 → 1台になって半額。年間で約78,000円が浮いた
- 保険料・ガソリン代に加えて車検代(1回約10万円)と自動車税(年36,000円)も消えた
- 当時の実額で締めると、年間およそ30万円の節約に
- 赴任先へ持っていくなら、「車庫飛ばし」に注意。警察署に必ず確認を
- 売るときは、任意保険を解約せず「中断証明書」をもらう
単身赴任は、家がひとつ増えるぶん、お金も気持ちも確実に目減りします。だからこそ「減らせるものは、始まる前に減らしておく」。車はその筆頭でした。

数えてみたら、うちには必要ありませんでした。
同じところで迷っている方の、判断材料になればうれしいです。