転勤が決まって、荷造りと手続きに追われているとき。「美容室、行っておいたほうがいいのかな」とふと思う瞬間はありませんか。
私は現役の美容師です。そして転勤族の妻として、これまでに10回以上引っ越してきました。
髪を切る側と、引っ越す側。その両方をやってきた立場から、引っ越し前の美容室について書きます。
調べてみると出てくるのは「旅行前は1週間前に」「美容室に行く頻度は」といった記事ばかりで、引っ越しの事情を書いている人がほとんどいませんでした。引っ越しは旅行とは、まったく話が違います。
目次
結論:引っ越し前にやることは、3つだけです
先に結論を書きます。私が引っ越す前にしているのは、これだけです。
やるのは3つ
- 引っ越しの1週間〜10日前にカットしておく
- 担当さんに「今日で最後です」と伝える
- 気になる人だけ、カラーの番号を聞いておく
そしてやらなくていいこともあります。よく言われる「前の担当さんに、次のお店で伝えることを全部聞いておく」。これは美容師の立場から言うと、おすすめしません。理由はあとで詳しく書きます。
行くなら、引っ越しの1週間〜10日前です
一般的な記事では「大事な予定の1週間前がベスト」とよく書かれています。切りたての不自然さが落ち着いて、いちばんきれいに見える時期だからです。
私が行くのも、だいたい引っ越しの1週間〜10日前です。ただし、理由がまったく違います。
引っ越し先の美容室探しは、思っているより時間がかかります
知らない土地で、自分に合うお店を見つけるのは簡単ではありません。
知り合いがいないので紹介してもらえない。口コミを読んでも、その人の髪質と自分の髪質は違う。1軒目で当たりを引けるとも限りません。
つまり引っ越したあとしばらく、美容室に行けない期間が必ず生まれます。
だから引っ越す前に切っておくのです。その分だけ、次のお店をゆっくり探す時間が買えます。

切るタイミングで、何が変わるか
| いつ切るか | どうなるか |
|---|---|
| 1ヶ月以上前 | 引っ越して早々に伸びてくる。落ち着く前にお店を探すことになる |
| 1週間〜10日前 | 私はここ。切りたてが落ち着き、荷造りが本格化する前に行ける |
| 2〜3日前 | 荷造り・掃除・退去の立ち会いで、まず時間が取れない |
早すぎると、着いた頃にはもう伸びています。かといって直前すぎると、荷造りと掃除で一日が終わって結局行けません。1週間から10日前が、いちばん無理のない場所です。
予約だけは、早めに取ってください
引っ越し直前は、荷造りと手続きで一日が消えます。「行けたら行く」にすると、まず行けません。
内示が出て日程が決まったら、その週のうちに予約を入れてしまうのが確実です。
【美容師の本音】「前の担当に全部聞いておく」は、しなくていいです
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
ネットには「引っ越す前に、使っている薬剤や施術内容を細かく聞いておきましょう」と書かれていることがあります。
美容師の側から言うと、これはあまり必要ありません。むしろ、しないほうがうまくいくこともあります。
理由は、次の美容師さんが困るからです
お店によって、使っている薬剤のメーカーが違います。メーカーが違えば、同じ番号でも同じ色にはなりません。カットの考え方も人それぞれです。
そこに「前のお店ではこうでした」と細かく指定されると、次の美容師さんは自分のやり方ができなくなります。手を縛られた状態で、いい仕上がりを出すのは難しいです。
そして結果に困るのは、お客さま自身です。
だから私も、聞かれたことしか答えません
私のお客さまが引っ越されるときも同じです。
「次のお店でカラーはどうお願いすればいいですか」と聞かれれば、番号などはお伝えします。でもこちらから「これを言ってきてください」と渡すことはしません。
口を出しすぎると、次に担当する美容師さんが困るだろうと思うからです。

持っていくといいのは、この3つだけ
とはいえ、まったくの手ぶらでなくて大丈夫です。最低限これだけあれば十分、という話です。
| 持っていくもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 仕上がりの写真 | いちばん早くて正確。言葉より確実に伝わる |
| カラーの番号 | 同じ色にはならないが、方向性は伝わる |
| 最後にかけた時期 | パーマや縮毛矯正が残っていると、できる施術が変わる |
1.写真がいちばん強い
いま気に入っている状態を、明るいところで撮っておいてください。前・横・後ろの3枚あれば十分です。
「肩につくくらい」「軽めに」といった言葉は、人によって受け取り方がまるで違います。写真ならズレません。
2.カラーの番号は「参考」として渡す
担当さんに聞けば、たいてい教えてくれます。ただし前に書いたとおり、メーカーが違えば同じ色にはなりません。
だから「この番号で染めてください」ではなく「前はこのくらいの明るさでした」と伝えるのがちょうどいいです。
3.パーマや縮毛矯正は、時期だけメモする
いつ、どのあたりまでかけたか。これは新しい美容師さんが必ず知りたい情報です。残っている影響で、できる施術が変わるからです。
細かい薬剤名までは要りません。時期がわかれば十分です。
「今日で最後です」は、言ったほうがいいです
私は毎回、必ず伝えています。
言いづらいと感じる方は多いです。「裏切るみたいで気が引ける」「引き止められたら気まずい」と。
でも美容師の側は、まったく気にしていません。転勤で離れるのは、こちらにはどうにもできないことだからです。
それより黙って来なくなるほうが気になります。「何か気に障ることをしたかな」と考えてしまうので。
ひとこと伝えてもらえたほうが、お互いすっきりします。「お世話になりました」だけで十分です。

引っ越し前に、私がおすすめしないこと
大きなイメチェン
新しい環境だから気分を変えたい。その気持ちはよく分かります。でも引っ越しの直前はやめておいたほうが無難です。
思っていた仕上がりと違ったとき、直してもらえる相手がもういません。新しい土地で、お店を探すところからになります。
イメチェンは、次の街で信頼できる人を見つけてからで遅くありません。
「伸びても平気なように」と切りすぎること
しばらく行けないからと短くしすぎると、今度は伸びていく過程が長くなります。
いつもの長さから少し整える。それで十分です。
引っ越したあと、髪に起きること
ここまでが「行く前」の話です。引っ越したあとには、また別の問題が待っています。
ひとつめ|お店探し
ここが本番です。私の探し方はこちらにまとめました。
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ふたつめ|水が変わる
これは意外と知られていません。土地が変わると水道水の硬度や塩素の量が変わります。
髪がパサついたり、シャンプーが泡立たなくなったり。腕でも体質でもなく、水のせいだったということがあります。
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よくある質問
Q. 引っ越し先が決まっていなくても、切っておくべき?
はい。決まっていないなら、なおさら直前に切っておくのをおすすめします。落ち着くまでの期間が読めないからです。
Q. 前の担当さんに、次のお店を紹介してもらえますか?
同じ系列のお店が近くにあれば、紹介してもらえることがあります。ただ個人店だと難しい場合が多いです。聞いてみる価値はありますが、期待しすぎないほうがいいです。
Q. 引っ越したあと、前の美容室に連絡してもいい?
大丈夫です。ただ、細かい相談は新しい担当さんにしたほうが確実です。目の前で髪を見られる人のほうが、正確に判断できます。
Q. 家族の分もまとめて切っておくべき?
引っ越したあと、お店を探す手間が人数分かかると考えると、まとめて済ませておくほうがラクです。
まとめ|「最後の1回」は、時間を買うために使う
引っ越し前の美容室は、きれいに見せるためではなく「次のお店をゆっくり探す時間を作るため」にあります。
この記事のまとめ
- 切るのは引っ越しの1週間〜10日前。落ち着いて探す時間が2〜3週間ぶん増える
- 予約は内示が出た週に取る。直前は必ず忙しくなる
- 前の担当に細かく聞き出さなくていい。次の美容師さんの手を縛ることになる
- 持っていくのは写真・カラーの番号・最後にかけた時期の3つだけ
- 「今日で最後です」は伝えたほうがいい。黙って来なくなるほうが気にされます
- 大きなイメチェンは次の街で。直してもらえる人がいないうちはやらない
引っ越しの準備は、決めることが多くて疲れます。髪のことくらいは、迷わず済ませてしまいましょう。