
転勤が決まるたびに、必ず考えることがあります。
『次の土地では、どうやって働こう』
私は美容師です。美容師歴は20年以上。そして転勤族の妻で、引っ越しは10回以上しています。
そのたびに勤めていた美容室を辞めて、次の土地でまた一から就職してきました。今も、引っ越し先のお店で働いています。
「転勤族の妻 仕事」で検索すると、おすすめの資格がずらっと並んだ記事がたくさん出てきます。医療事務、栄養士、保育士、介護福祉士……。
でも、実際に10回以上やってきた私の実感は、それとは少し違いました。
この記事に書くのは、きれいな一般論ではありません。私が実際にやったこと、面接で言ったこと、そして通らなかったことです。
こんな方におすすめ
- 転勤族の妻だけど、やっぱり働きたい方
- 面接で「転勤があること」を言うべきか迷っている方
- 資格を取ろうか悩んでいる方
- 転勤先での仕事の探し方が知りたい方
10回以上引っ越して分かった4つのこと
- 探し方は求人サイトとハローワークの2つで足りた
- 面接では「また転勤で辞めます」と先に言っている
- 資格は「これから取る」より「今あるものを使う」ほうが早い
- 未経験の仕事は、思っていたより通らなかった
目次
転勤族の妻は働けない?10回以上引っ越して、私は働き続けています
まず、私の状況を書いておきます。ここが違うと、この先の話も違って読めると思うので。
- 夫が転勤族。引っ越しは10回以上
- 夫婦ふたり暮らし、子どもはいません
- 私は美容師。美容師歴20年以上
- 今も、転勤先のお店で働いています
- 働き方はフルタイムのときも、週2〜3回のパートのときもあります
子どもがいない分、働き方は比較的自由に選べました。ここはお子さんがいる方とは事情が違うので、そのつもりで読んでいただけたらと思います。
ただ、毎回フルタイムだったわけではありません。フルタイムで働いた土地もあれば、週2〜3回のパート勤務だった土地も多いです。その土地でどんな求人があるか、お店がどんな人を探しているかで、毎回変わりました。
ただ、それでも毎回ゼロからの就職活動です。慣れることはありません。

私の仕事の探し方は、たった2つだけです
いろいろな方法を試したように思われるかもしれませんが、実際に使ったのは2つだけでした。
① 求人サイト
いちばん最初に見るのがここです。引っ越し先の住所が決まったら、その地域で検索します。
転勤族にとってありがたいのは、まだ引っ越す前から、次の土地の求人が見られることです。「この街にはこういうお店があるんだ」「時給はこのくらいなんだ」というのが、行く前に分かります。
実際に応募するのは引っ越してからでも、下調べは前の土地にいるうちからできます。これは求人サイトにしかできないことです。
② ハローワーク
そしてもう一つがハローワークです。転勤族の仕事探しの記事にはあまり出てこないのですが、私は毎回使っています。
理由は単純で、その土地に行かないと分からないことを、人に聞けるからです。
転勤族こそハローワークが向いていると思う理由
- 地元の小さいお店の求人が出ている(求人サイトには載っていないことがある)
- 相談窓口でその地域の相場や事情を聞ける(初めての土地だと、これが本当に分からない)
- お金がかからない
- 引っ越してすぐの「まだ知り合いがゼロ」の時期に、とりあえず行ける場所ができる
最後のひとつは、仕事探しとは少しずれるかもしれません。でも転勤直後のあの手持ち無沙汰な時期に、「今日はハローワークに行く」という予定があるだけで、気持ちがずいぶん違いました。

この2つで足りなかったことは、今のところありません
知り合いの紹介や、お店に直接聞きに行くという方法もあると思います。ただ、転勤してきたばかりの土地には、そもそも知り合いがいません。紹介してくれる人がいないんです。
だから私は、この2つに絞りました。
面接では「また転勤で辞めます」と、先に言っています
ここがこの記事で、いちばん書きたかったところです。
「言わないほうがいい」と書いてある記事は多いけれど
面接の答え方を紹介している記事を読むと、だいたいこう書いてあります。
- 事実をそのまま全部並べる必要はない
- 伝え方を工夫して、前向きな意欲を添えましょう
- マイナスに聞こえない言い方をしましょう
どれも、間違ってはいないと思います。でも読んでいて、ずっと引っかかっていました。
それ、全部「どう言えば落とされないか」の話なんですよね。

私は毎回、先に言っています
私は面接で、聞かれる前に自分から言うようにしています。
私が面接で言っていること
「夫が転勤族なので、数年でまた引っ越すことになると思います。いつになるかは、こちらでは分かりません。それでもよければ働かせてください」
身も蓋もない言い方です。自分でも、言うたびに「落ちるかもな」と思います。
それでも、これで働いてきました
結果から言うと、これを言ったせいで落ちた、という経験はほとんどありません。10回以上引っ越して、そのたびに就職して、今も働いています。
なぜなのか、はっきりした理由は分かりません。ただ、働いてみて思ったことはあります。
お店の側も、いつか辞める人がいることは分かっているんです。結婚、出産、家庭の事情。理由はいろいろで、転勤もそのうちのひとつでしかありません。
お店が困るのは「辞めること」そのものより、急に辞められることのほうだと思います。

言わずに入ると、どうなるか
もし黙って入って、1年後に「転勤が決まったので辞めます」と言ったらどうなるか。想像すると、こうなります。
- お店は戦力として育てるつもりで教えてくれている
- そのあとで急に抜けることになる
- 言い出しづらくて、ぎりぎりまで黙ってしまう
いちばんつらいのは、たぶん自分です。ずっと隠しごとをしながら働くことになります。
それに、次の土地でもまた同じことをするわけです。転勤族はこれが何回も続きます。私はそれに耐えられませんでした。
先に言うことのいちばんのメリット
採用されるかどうか以前に、働いている間ずっと、うしろめたさがない。これが理由のすべてです。
資格は「これから取る」より「今あるものを使う」ほうが早いです
転勤族の妻向けの記事を読むと、必ず出てくるのが資格の話です。医療事務、栄養士、保育士、介護福祉士、ITパスポート。
どれも全国どこでも需要がある資格なので、おすすめされるのは分かります。でも私は、その前に確かめてほしいことがあると思っています。
美容師免許は、全国どこでも使えます
私が持っているのは美容師免許です。これは国家資格なので、どこの都道府県に引っ越しても、そのまま使えます。
引っ越すたびに取り直す必要も、書き換える必要もありません。転勤族にとって、これは本当にありがたいことでした。
しかも美容室は、どんな町にもあります。都会でも地方でも、人が住んでいるところには必ずある。「その土地に仕事があるかどうか」を心配しなくていいのは、探すうえでとても楽です。
一度、美容師以外のパートもしてみました
ずっと美容師だったわけではなくて、途中で別の仕事をしてみたこともあります。パートでした。
いろいろな理由がありました。同じ仕事ばかりでいいのかなと思ったり、勤務時間が合わなかったり。
そして、事務の仕事に応募して、通りませんでした
そのときに、事務の求人にも応募してみました。
結果は、採用されませんでした。
ただ、これは正直に書いておきます。応募したのは1〜2回だけなので、それが「未経験だから」なのか、たまたまなのか、私には分かりません。
それでも、そのときにはっきり感じたことがあります。
応募してみて感じたこと
「未経験歓迎」と書いてあっても、経験がある人のほうが採用されやすい。
そして転勤族の妻には、そこにもうひとつのハンデが乗ります。「未経験」+「数年で辞めます」。この2つが重なると、やっぱり選ばれにくくなるのだと思います。

結局、慣れている仕事に戻りました
それで私は、美容室の仕事に戻りました。
理由は単純です。慣れている仕事のほうが、やりやすかった。
引っ越し直後は、ただでさえ全部が新しいんです。街も、家も、スーパーの場所も、ゴミの日も、近所づきあいも。そこに「仕事も一から覚える」が乗ると、しんどいということが、やってみて分かりました。
逆に言うと、仕事だけは今までどおりというのは、引っ越しの中で唯一「変わらないもの」になります。これは思っていたより支えになりました。

だから、まず自分の手元を見てほしいんです
資格を取るのは、時間もお金もかかります。取ってからも、実務経験がないところからのスタートです。
それよりも先に、こちらを確かめてみてください。
資格を取る前に確認してほしいこと
- 今持っている資格や免許はありませんか?(使っていないだけ、ということがよくあります)
- 結婚前にしていた仕事は?ブランクがあっても「経験あり」です
- その仕事は引っ越し先にもありますか?(ここが転勤族にはいちばん大事)
この3つが揃っているなら、新しい資格を取るより、そこに戻るほうがずっと早いです。
それでも、これから取るなら
もちろん、手元に何もないという方もいると思います。その場合は、「全国どこにでもその職場があるか」だけを基準にして選ぶのがいいと思います。
よく挙げられるのは、医療事務・栄養士・介護福祉士・保育士あたりです。共通しているのは、病院・施設・学校が、どこの町にもあるということです。
逆に、その業界のお店が都市部にしかないような仕事だと、次の転勤先で使えないことがあります。
転勤族の妻の働き方4つを、正直に並べます
よく紹介される4つについて、私がやったこと・やっていないことをはっきり分けて書きます。
① 全国チェーンのお店でのパート・アルバイト ←やっています
今の私がこれです。全国にお店があるところなら、引っ越し先にもある可能性が高いというのが理由です。
ただし、あくまで「可能性が高い」だけです。行った先にお店がないこともあります。そのときは、また一から探し直しになります。
② 派遣社員 ←私はやったことがありません
正直に書きます。私は派遣で働いたことがありません。
転勤族の妻には向いていると言われます。契約期間が決まっているので辞めやすい、大手なら全国に支店がある、というのが理由です。理屈は分かります。
ただ、やっていないことを「おすすめです」とは書けません。ここは経験のある方の記事を読んでいただくほうがいいと思います。

③ 在宅ワーク ←今、勉強しているところです
パソコン一つあればどこでもできる。転勤のたびに就職活動をしなくていい。これが最大のメリットです。
転勤族にとっては、理屈のうえではいちばん相性がいい働き方だと思います。
ただ、その反面もあります。
- 私のようにパソコンが得意でない人には、かなり勉強が必要
- すぐには収入にならない
- 人との交流がなくなるので、孤独を感じやすくなる
最後のひとつは、転勤族には意外と大きいと思っています。ただでさえ知り合いがいない土地で、家からも出なくなると、本当に誰とも話さない日が続きます。

ブログを始めてみるなら
在宅ワークの入り口として、私はブログを選びました。まだ勉強中なので「稼げます」とは書けません。ただ、引っ越しても続けられるものがひとつあるのは、思っていた以上に心の支えになっています。
④ 資格を活かした仕事 ←これが私です
前の章に書いたとおりです。これから取るより、今持っているものを使うほうが早いというのが、10回以上引っ越した私の結論です。
それでも働いてよかったと思う、3つのこと
毎回ゼロから就職活動をするのは、正直しんどいです。それでも私が働き続けている理由を書きます。
① 孤独感がやわらぐ
これがいちばん大きいです。
転勤してすぐは、その土地に知り合いがひとりもいません。夫は毎日仕事に行きます。私だけが家に残ります。
働きに出ると、毎日話す相手ができます。友達というほどではなくても、「おはようございます」を言う相手がいるだけで全然違いました。
② その土地のことが、早く分かる
職場の人は、その土地に長く住んでいる人が多いです。
安いスーパー、おいしいお店、混む道、病院。ネットで調べても出てこないことが、雑談の中で入ってきます。これは働いていないと手に入らない情報でした。
③ お金の余裕が、次の引っ越しを楽にする
転勤族はとにかくお金がかかります。カーテン、照明、ガスコンロ。引っ越すたびに、細々としたものを買い直すことになります。
働いていると、その出費を「まあいいか」と思えます。これが精神的にかなり楽です。
転勤先で仕事を続けるために、私がしていること
「何年いるか分からない」を前提にする
最初から「3年で辞めるかも」と思っておくと、気持ちが楽になります。
逆に「ずっとここで働くつもり」で入ってしまうと、辞令が出たときのショックが大きくなります。期限が決まっている仕事だと思って、その中で目一杯やる。これが私のやり方です。
辞め方を、きれいにしておく
転勤族は、これが本当に大事です。
- 辞令が出たら、できるだけ早くお店に伝える
- 引き継ぎを最後までやる
- 「また戻ってくることがあったら、よろしくお願いします」と言っておく
実際、同じ会社の別の店舗にまた入れてもらえた、という話は業界の中でもよく聞きます。辞め方は次の土地につながります。

短い目標を、ひとつ持っておく
「この土地にいる間に、これだけはできるようになる」というものを決めておくと、続けやすくなります。
何年後というような長い目標だと、転勤で途切れてしまいます。転勤族の目標は、短く区切るほうが合っています。
まとめ:転勤族の妻でも、働けます
最後にもう一度まとめます。
10回以上引っ越して、私がやってきたこと
- 探し方は求人サイトとハローワークの2つ
- 面接では「また転勤で辞めます」と先に言う。それで働き続けています
- 資格は今持っているものを使うのがいちばん早い
- 未経験の仕事は、応募してみたけれど通らなかった
- 辞め方をきれいにしておく
転勤族の妻は「働けない」と言われがちです。でも私は、10回以上引っ越しても働き続けています。
変わるのは「働けるかどうか」ではなくて、「選び方」のほうでした。
今いる土地にいられるのが、あと何年かは分かりません。それでも、その中でできることはあります。

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